
公的年金の制度改正
少子高齢化はますます進み、現役世代の負担は増加する一方です。このため、給付の削減や支給開始年齢の引き上げなどが行われており、公的年金以外の老後所得を確保する必要があります。
退職給付に係る新会計基準
一時金・年金制度の積立不足をバランスシートに反映させます。このため、一時金・年金制度のひずみが企業の格付け等にまで影響します。
賃金制度の見直し
年功序列型から実績主義、成果主義へ賃金制度の見直しが図られています。
確定給付年金の危機
低金利、運用環境の悪化に伴い、従来の企業年金制度の積立不足は増大しています。この不足分を解消するため、企業はより一層の掛金負担を強いられます。
▲Page Top
確定給付年金と確定拠出年金

確定給付年金と確定拠出年金の本質的な相違は
企業側:いつ年金(拠出)を支払うか
従業員:年金額は確定か未確定か
(確定給付年金を退職一時金に置き換えても、同様)
- 確定給付年金は、本質的に企業が長期債務を有する仕組み
▲Page Top
確定拠出年金には企業型と個人型の2つのタイプがあります。それぞれのタイプにより掛金限度額や制度を管理する機関が異なります。
- 企業型
- 企業が労使合意のもと、企業型年金規約を作成し、導入する。企業が従業員の個人別管理資産に掛金を拠出する(加入者掛金を拠出することも可能(平成24年1月〜))。
- 個人型
- 自営業者や企業型確定拠出年金および厚生年金基金、確定給付企業年金、適格退職年金を実施していない企業の従業員などが自分のために確定拠出年金制度に加入、掛金を拠出する。
以下、ここでは企業型を中心に話を進めていきます。
▲Page Top
確定拠出年金とは(企業にとって)
1.確定拠出年金は退職金前払制を年金化したもの
2.費用処理(退職給付会計)と現金支払が完全に一致
→確定給付年金の長期債務をキャッシュフロー化
3.運用リスクの移転:会社が負担していたリスクは従業員へ
→その代わり従業員が運用できる
4.企業の給付設計の放棄
- 確定給付年金で各企業が政策的に取り入れた長期優遇、給付頭打ちといった給付は、確定拠出年金では不可能
→就労のコントロールはしにくい

▲Page Top
企業
- 長期債務の解放(退職給付債務の削減)
- キャッシュフローと会計上の費用の一致
- 運用リスクの解放
- 人材確保(労働力の流動化に対応)
- 年金制度導入が容易
- 独自の給付設計の欠如
- 受託者責任を負う
(従業員教育、情報提供) - 運営管理費の増加
従業員
- 個人毎の資産を把握
- 税制優遇
- ポータビリティが高い
- 個人毎に運用指図が可能
- 運用リスクを負う
- 老後所得の不安定さ
- 途中引出し不可
▲Page Top
企業型年金では掛金は事業主が負担します。但し、事業主掛金以下の額で加入者掛金を拠出することも可能です。この場合、加入者掛金は事業主掛金との合計額で拠出限度額以下とする必要があります。
- ○拠出限度額
- 厚生年金基金、確定給付企業年金、適格退職年金、私立学校教職員共済制度、石炭鉱業年金基金の加入者(施行令第11条)
- 月額:25,500円(年額:306,000円)
- 上記以外
- 月額:51,000円(年額:612,000円)
掛金額の算定方法はあらかじめ年金規約に定める必要があります。
算定方法としては下記のようになります。
- 定額(全員一律同額)
- 給与比例
- その他(ポイント比例など)
- ○加入者掛金の取扱い(加入者掛金の拠出は平成24年1月より実施可能)
- (1)加入者掛金の額は、規約に定める方法により加入者が決定します。
- (2)年1回に限って変更することが可能です(ただし、以下の場合を除きます)。
- 事業主掛金の引き下げにより、加入者掛金が事業主掛金を上回ってしまう場合
- 事業主掛金の引上げにより、事業主掛金と加入者掛金の合算額が拠出限度額を上回る場合
- 規約に定められた加入者掛金額の算定方法に変更が生じ、変更せざるを得ない場合
- 加入者掛金をゼロとする場合、または加入者掛金をゼロから変更する場合
-
▲Page Top
原則的には60歳になるまで給付を受けることはできません。
ただし、積立金が15,000円以下の場合等、特別な要件を満たす場合は一時金を受け取ることもできます。
| 給付の種類 | 支給要件 | 支給形態 |
|---|
| 老齢給付金 | 加入者が60歳に達したとき。 60歳から70歳の間で任意の時点から受給が開始できる。 ただし、60歳時点で拠出期間が10年を経過していない場合は以下の年齢から受給開始が可能。
拠出期間8年以上 61歳 拠出期間6年以上 62歳 拠出期間4年以上 63歳 拠出期間2年以上 64歳 拠出期間1月以上 65歳 | 5年以上の年金 (有期年金または終身年金) または一時金 |
| 障害給付金 | 加入者が70歳までに高度障害に該当したとき | 5年以上の年金 (有期年金または終身年金) または一時金 |
| 死亡一時金 | 加入者が死亡したとき | 一時金 |
| 脱退一時金 | ・積立金が15,000円以下の場合 ・個人型運用指図者(拠出はできない)となった場合で、 ①加入期間1月以上3年以下の場合、又は ②積立金が50万円以下の場合 | 一時金 |
▲Page Top
確定拠出年金の運用は加入者が自らの責任において行います。
企業や運営管理機関は加入者に対し、運用商品の提示や運用に関する情報、預け替えの機会を提供しなければなりません。
- 運用指図
- 加入者が行う
- 運用商品
- 預貯金、有価証券(公社債、株式、投資信託)、信託、保険商品等
- 動産、不動産金融先物、商品先物等は不可
- 運用商品の提示、預け替え、情報提供等
- 3つ以上の運用商品を提示(うちひとつは元本保証商品)
- 少なくとも3ヶ月に1回は預け替えの機会を提供
- 運営管理機関は加入者に対し、個別の運用商品等に係る利益の見込み、損失の可能性やリスク・リターン特性等に関する情報を提供
- 事業主の行為、責務
- 個別運用商品を推奨することは禁止
- 企業は自ら又は運営管理機関等に委託して資産運用に関する一般的な情報(資産運用の基礎知識、分散投資の考え方等)を継続的に提供するように努める。
▲Page Top
企業型年金の加入者が転職した場合は、転職先の企業型年金もしくは個人型年金に資産を移換することになります。
ケース毎の資産移換先

▲Page Top
企業型年金の税務上の取扱いはそれぞれ以下のようになっています。
- 掛金拠出時
- 事業主が拠出した掛金全額損金算入かつ従業員の給与とみなさない。
加入者掛金の額は、小規模企業共済等掛金控除の対象となります。 - 資産運用時
- 利子、配当については所得税非課税
年金資産については特別法人税課税(平成25年度まで凍結) - 給付受取時
- 1. 老齢給付金
年金:雑所得(公的年金等控除適用)
一時金:退職所得(拠出期間を勤続年数とみなす) - 2. 障害給付金
年金・一時金ともに所得税非課税 - 3. 死亡一時金給付金
相続税法上のみなし相続財産として相続税課税 - 4. 脱退一時金
一時所得